悟り・私にだけは起こらないもの

私に起こることは全て悟りではない

以前私はどこかで、悟りというものに関してこういうことを申し上げたことがあるはずです。「体験に分類されるものは何であれ一つの例外もなく悟りに該当しない」。とはいえ説明の便宜上悟りのことを体験と表現することはあります、といった意味の但し書きをその後ろに付けさせてはもらいましたけれど。

今回は、焦点をそこから少しずらして「私に起こることは何であれ一つの例外もなく悟りに該当しない」という話をさせていただこうと思います。

ここに言う私とは?

まずはこの「私に起こることは何であれ一つの例外もなく悟りに該当しない」という物言いに含まれている「私」の意味をはっきりさせたいのですが、一言で申せばそれは「体と心からなる私」を指します。そしてこの「体と心からなる私」の対立概念が私の言う真我です。

が、大事なのは、ここに言う「心」が思考の出どころである顕在意識だけを指しているのではなく、感性(感じること)の出どころである潜在意識までも含めた最も広い意味における心を指している点です。

最も広い意味における心、その中には当然のことながら、個人の潜在意識はもとよりその下に隠されている万人共通の潜在意識というものも含まれています。

人によっては、そのさらに下に宇宙的な何かが隠されていると見ることもあるようですが、それさえも心という枠を出ないものである以上、言い換えれば、それさえも個人の顕在意識や潜在意識と地続きなものである以上、ここに言う心に含まれることは言うまでもありません。

そしてその心と体を合わせたものが当方の見解では真我の対立概念としての私ということになるわけです。

こう申し上げると、万人共通の潜在意識あるいは、そのさらに下にある宇宙的な何かさえも私という括りに入れることに対して違和感を覚える方は少なくないかも知れません。が、そういう方は、屁理屈に聞こえるでしょうが、前者を「大きい私」、後者を「宇宙大の私」という風に言い換えてみられたらいかがでしょうか。要するに私という言葉の意味をギリギリまで広く取ったら、それらもまた私と呼べないこともないでしょってことですね。

真我は心ではない

いずれにしてもこの私が、真我と見なされることもよくあるそれらをも真我の対立概念としての私という括りに入れる理由は、心と真我を別物と見ているからに他なりません。

心と真我が別物であることは、これも私がよくする話の一つですが、前者が無数の極微の粒子もしくは波動(振動)で成り立っているのに対して後者は一粒の無限大の粒子のような存在もしくは均質な一かたまり(波動や振動とは似ても似つきませんね)であるという点からも、よーくお分かりいただけると思います。

さらにダメ押しをさせていただくなら、心の大きさが三次元空間の大きさを超えないのに対して真我はそれよりも大きいという、もう一つの根本的な違いも両者間にはあります。

覆される悟り観

さてそれでは、ここで話を戻しますが、体および前述のような最も広い意味における心から成る私に起こることは全て悟りに該当しないということになりますと、これまで色んなところで幅を利かせていた悟り観の多くが覆されてしまうのは避けられません。

私が感じたり、実感したり、体感したり、府に落としたり、洞察したり、気づいたり、納得したり、認識したり、理解したり、発見したり、見つけたり、会得したり、掌握したり、受け取ったり、「なるほど!」とか「ああ、こういうことか!」とか「そうだったのか!」とか思ったりしたことなどは、何でもかんでも悟りではないという話になるからです。

なぜって? それらは全て私に起こったことだからです。私に起こったことであるという、たった一つの理由だけで、それらを悟りと呼ぶことはできなくなるんですね。私に起こった程度のことがどうして悟りと呼ぶに値するでしょうか。

「自分はそれを頭で分かったのではない、心の奥深いところでハートで感性で分かったのだ!」と主張しても無駄です。心の奥深いところも、ハートも、感性も、頭と同じように私に属するものに他ならないわけですから。

分かれば分かった私がいます。気づけば気づいた私がいます。洞察すれば洞察した私がいます。体感したり実感したりすれば体感したり実感したりした私がいます。肩の荷をおろせば肩の荷をおろした私がいます。

ここまでの私の話に不服を感じておられる方々にお黙りいただくには、次の三行だけで十分でしょう。

①真我とは私に起こること全て(私に起こる気づきも含めて)に気づいている者のことである。

②その真我の気づき(感性と切り離された気づき)に、私の側から気づくことは不可能である。

③悟りとはその真我が真我自身に気づくと言う、真我の「中」だけで百パーセント完結した現象である。

今回の話は以上です。

中島タローでした。

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